放課後、教室で彼氏と待ち合わせてる同じクラスの莉奈に今日の事を愚痴る。



鈴木 莉奈。

幼稚園からの幼なじみで、私の大親友。


ちょっと辛口だけど、なんだかんだ言って面倒見のいいお姉ちゃん的な存在。


莉奈は自分の席に座る私の目の前の席に座り、携帯をいじりながら私の愚痴を聞いてくれる。


「放課後居残り、なんて……ついてないわねぇ」


「うっ……そ、それだけ?」


「…なんで? 他に言う事あるの?」


「え゙……。慰める…とか?」


「私が? 陽菜を?」


?マークを頭の上に浮かべて、小首をかしげる莉奈は本当に不思議そう…。


「……も、いいです」


「そ? ならいいけど」


いつもの如くサラリとキツい事を言われて沈む私を、チラと見ながら携帯でメールを打つなんて器用な事をする……。


シュンとして莉奈を上目遣い気味に見上げる。


その直後、莉奈が持っていた携帯が震えた。


「あら☆ ナイスタイミング♪」


「……松下君?」


「うん♪」


携帯の画面を見る莉奈の頬がみるみる内に緩んでいく。


ニヤけた顔は、先程のような毒を吐く人と同一人物とは思えない、恋する乙女、と言うやつの表情だ。


莉奈がこんな顔をするのはたいていの場合莉奈の彼氏である

松下 涼君(…だっけ?)

絡み。


「『部活が無かったから一緒に帰らない?』だって〜!」


「よかったねぇ莉奈」


凄く幸せそうにメールの内容を私に話す莉奈を見てると、羨ましくなってくる。


私が「いってらっしゃい♪」と言うと、


莉奈も、「そうする♪」と満面の笑みで返してくれた。


「じゃあね、陽菜。また明日ね♪ 頑張って♪」


「うん、また明日ぁ〜」


ヒラヒラと手を振り、遠ざかる莉奈の背中を見送る。