ひ…、酷い……。
酷いよ、莉奈さん!!


「で。陽菜が一目惚れしちゃった宮田君の事だけど。まぁ、あのルックスじゃあ一目惚れくらいするわよね〜」


お母さんが持って来たクッキーに手を伸ばし、炭酸片手に淡々と言う。


私の目の前に座る莉奈の言葉に頬を赤く染める。


「……で?陽菜はどーするの?」


「へ?何が?」


「宮田の事よ。言っとくけど、宮田は倍率高いわよ?」


「え…」


「何なら、学校中のフリー女子が狙ってるって言っても過言じゃないし」


そんなに人気なのね……
そんなに人気な人に惚れちゃったのね……!!


私、特別可愛い訳じゃないし…成績も普通だし、特にこれと言って長所なんて無い。


こんな私が、そんな高嶺の花な人に振り向いてもらえる可能性なんか無に等しい事はわかってる。


………でも。


「私……諦めるつもりなんて無いよ、莉奈」


この、宮田君を好きって気持ちはもう、止められないから…。


諦める、事なんて、出来ない。


『当たって砕けろ』でもいい。


「陽菜……。よく言った!!
じゃあ、ここは陽菜の親友として陽菜の初恋、応援しなきゃね♪」


ニコッと笑って言ってくれる莉奈が天使に見えて……。


私は思い切り莉奈に抱き着いた。


莉奈は優しく私の頭を撫でてくれた。


「陽菜なら大丈夫よ」


「うん……頑張る」



――この日から、私と莉奈の『初恋は失恋ばっかりじゃないよ大作戦!』がスタートしたのだった…―――。