そうして俺は行きと帰りを毎日優華と歩いた。 好きだからじゃない。 純粋に困っている人をほっとけなかった。 「………郁斗くん。」 俺の服のそでを引っ張ったのは相談をうけたその日の帰りだった。 「後ろ……いる。」 微かに動く口の動きをよんだ俺は、目の前にあったカーブミラーをみた。 物陰に隠れて、見え隠れしている帽子のつばがそこには映っている。 「後ろむかないで。 そのまま前をみて歩くんだ。」