すでに喫茶店には渡辺先輩が窓際の席に座って待っていた。
「すいません。すこし用事が入ってしまって。」
「本当にきてくれたんだ。橋本は来てくれないと思ってた。」
「約束は守る主義なんで。」
そういってあたしは先輩の向かい側の席に座った。
「今日は何で呼んだかわかるよね?」
「まぁ、大体……先客もいたんで。」
やっぱりね。
小さく呟いた先輩はあたしに微笑んだ。
「じゃあ、率直に言っちゃうけど、橋本のことが好きなんだ。」
「先輩には申し訳ないんですけど、付き合えません。」
「他に好きな人がいるんだ。」
何もかもわかりきったようにピタリと当ててしまった先輩にあたしは何も言えなくなってしまったあたし。
「そうか。
残念だけど、ここまできてくれただけありがたいと思わないとね。
このあとは告白?」
「………まぁ。
結果はわかりきってますけど。」
「悔いは残さないでね。」
─────……。
「……ありがとうございます」


