おかん

ご飯は姉ちゃんが作っていた。

おれは姉ちゃんの帰りが遅い時
唯一作れるカレーを作って
みんなの帰宅を待っていた。

夜中に台所にいって
カラになったなべを見て
おれはいつも嬉しかった。

家族の形を見た。

話をすることはないが
なんらかの繋がりを感じた。

きっと姉ちゃんや妹は
おれ以上に辛いはず。

おれ以上にいっぱい
おかんと同じ時間を過ごしたはずだ。

おれは姉ちゃんと妹を
支えて生きたいと思った。
許してもらえず
認めてもらえずとも。
話をすることがなくとも。



おかんがおれに
してくれていたように。