あなたに映る花



心の中で呟いた。けど。

景くんの言葉を聞いた後、強く後悔することになる。

「私は、あの方――斎藤先輩の隣に立つつもりなどありません。あの方から遠ざかるつもりです」

そう言った景くんの目は、揺るがない意志を宿していた。

「……辞める気か、演劇部を」

「それは――」

景くんが何か言う前に、良太が大声を出した。

「そんなの許さねえからな!」


突然の出来事に目をしばたたく景くんの前に、良太が立つ。

「さっきは悪かった!だけどな、江戸時代に何があったって、俺達の作品には関係ないんだよ!お前が景姫だっつうんなら尚更だ!俺達じゃ当時の空気とか……なんか、わかんねーんだよ!………ほ、ほら、殺陣にしたって仕草にしたって……実際のと比べれば猿まねだし……!だから、お前が、そういうの教えてくれよ…!」

良太は一回呼吸を整えると、今度は落ち着いて続けた。

「…それに、俺ら、着物とかの着方もわかんねー。衣装とか髪型とか小道具とか、お前がいなきゃ何もできねぇ。俺らには、お前が必要なんだよ。だから――」

良太の眉尻が下がる。

「…演劇部、辞めんなよ…」