あなたに映る花


そ、それもそうか。

「ってことは…?」

あたしは拓真を仰ぎ見る。
こういう時、拓真の頭は正しい答えを導き出してくれるから。

拓真はあたしをチラッと見ると、にわかに信じ難い面持ちでゆっくりと結論を出した。

「つまり…。この『水鏡に映る花』は実際に起きた事で……君達二人は…斎藤弓鶴という人も…登場人物と同じ人間ということですか?」

田沢が真剣な顔で頷く。

「正確に言えば生まれ変わりだがな。俺は妖力がない。景は男だ。そして斎藤弓鶴は……記憶がない。江戸の頃の、な」

突き付けられた受け入れ難い真実に、あたし達は何も言えなかった。

沈黙に押し潰されそうになったとき、良太がやけくそに叫ぶ。

「しょ……証拠はあんのかよ!?お、お前らがその時代の人間だったっていう、証拠が!!」

発狂したみたいに喚き散らす良太を見た田沢は、眉間を押さえて忌ま忌ましそうに呟く。

「…これだから人間は嫌になる。他の者の秘密を知りたがり、それが信じられなければ目に見える証を欲する。つくづく愚かな生き物だ」

そして鋭く景くんを見る。
「景。それでも貴様はまだ人間を信じるか」