あたし達が急いで部室を出るときも、斎藤さんはじっとあたしが挿している簪を見つめていた。
この簪が、一体何だというのだろう。
「佑、大丈夫か?」
良太が心配そうに声をかけてくれた。
「うん。そんなに強い力じゃなかったから」
「そうか。……にしても景の奴、何処行ったんだ?」
良太に聞かれても、あたしは少し黙っていた。
「……佑?」
拓真の訝しげな声に促される様に、あたしはうっすらとした答えを告げる。
「…多分だけど…昨日の桜の木の下、じゃないかな」
「桜の木?なんでだよ?」
良太が首を傾げるけど、あたしにもよくわからない。
拓真は、フッと息を吐いて優しく言ってくれた。
「中庭に行ってみよう。闇雲に探すよりいい」
その意見に、あたしも大きく頷く。
良太はまだ納得いかないみたいだけど、仕方ないと息をついた。
