「…できました!」

景くんは最後に高そうな簪をあたしの髪に差した。

あたしの頭が…
時代劇で見る日本髪に結われている。

こんなに本格的なのは初めてだから、かなり恥ずかしい。

だけど景くんは、あたしが何か言う前に良太と拓真に声をかけてしまった。

「お二人とも!佑先輩、見てあげてください!」

ちょっとして、カタンと椅子の鳴る音がした。

「…仕方ねぇなあ~」

良太のめんどくさそうな声が聞こえる。

……何よその反応。

「……まあ、佑だしね」

……拓真、否定しなさいよ。

衣装部屋のドアが開く。

「そうだよな。佑のことだから大したことな…」

あたしを見て良太の動きが止まる。

……え。
あたし、そんなに酷い?

「何、どうしたの。良太後ろがつま…って…」

「んもう!いい加減にしなさいよ!」

あたしが立ち上がって進むと、何故か二人は後ずさる。

「わ、わ…」
「こっちくんな…」

そして何故か俯いて笑いをこらえる景くん。