婚姻まで、あと三日と迫った日の夜。
私は縁側にでて、丸く浮いた月を見上げていた。
「弓鶴様…」
彼のひとの面影は、まだ見えない。
凛の気配を感じて振り向くと、大好きな水羊羹が置かれた。
「…これでも食べて、元気出して下さい」
「凛…」
――悩んでいても仕方ない。
水羊羹に手を伸ばした、その時。
私の手の近くに、風を切った矢が飛んできた。
「きゃあ!?」
「姫様ッ!誰か――」
凛が家人に知らせようとするけど、矢尻に縛り付けられた文に気がついた。
「まって、凛!」
「ひ、姫様?」
驚く彼女の声を背に受け、私は紙を広げる。
―――――――嘘。
「……姫様?」
「嘘……うそよ……」
硬直して動かなくなった私の手から、凛がするりと文を抜き取る。
