宮野 景(みやのけい)が現れたのは

桜舞い散る春だった―




「み~んなっ!新しい部員を紹介するわよっ!」

「「「は?」」」

伝統ある演劇部のウン代目部長、自称ビッグスターの西野 麻奈美(にしのまなみ)は、部室の扉を蹴り開けた。

「マナせんぱーい。部室を乱暴に扱わないでくださーい」
主に主人公の友人とかサブ的な役をやる2年3組の浅倉 拓真(あさくらたくま)が、いつもの気の抜けた声で麻奈美ことマナ先輩にツッコむ。

「そーっすよ!築50年の老体なんすから!」
黒幕を演じる2年1組浜崎 良太(はまさきりょうた)が続ける。

「なー佑(ゆう)?」

…あたしにふらないでよ。

そう心の中で呟き、深く溜め息をついた。