…なんて。

考えは甘かった、と気付いたのは。

こっそり教室から抜け出そうとしたとき。





「待て、コラ」

「え?」





ガシッとシャツの襟元を掴まれる。

引っ張られたその先に目をやると。

そこには。

何かを召喚しそうな黒いオーラを纏い。

背筋が凍りそうなくらい“ニッコリ”と。

悪魔の微笑みを浮かべた黒沢がいた。





「逃げようったってそうはいかねぇよ?」





背後から出る不気味なオーラに。

思わず後退りそうになる。





「え……あ、あれ?」





ふと気付くと。

隣にいたはずの里佳の姿がなくて。

…どこに行ったんだろ。

まさか。

私を置いて逃げたとか!?





私の探し物に気付いたのか。

黒沢が“…あぁ”と小さく呟くと。

「相原なら…」

そう言って、教室の中を指差した。





黒沢が指差したそこには。

既に王子様コスに着替えた里佳がウェイターになっていた。





…どうやら。

里佳の方が先に捕まってたらしい。