「…まず1番」





手玉のそばにある1番のボールを軽くポケットに入れると。





「…2番」





今度は手玉から少し距離のあるところにある2番のボールも。

ポケットに吸い込まれた。





その後は。

3番4番5番…と、慣れた手つきで。

四隅を含めた6コのポケットにボールを沈めていく黒沢。





そして今。

最後、9番のボールが“カコン”と乾いた音をたてて。

角のポケットに沈んだ。





最後のボールを手に取り。

黒沢が口角を持ち上げながら。

私と顔を合わせた。





「…どう?」

「…カ…ッコイイ…」

「…え?」





私の発した言葉に目を見開く黒沢なんて。

この際どうでもいい。





私は。

瞬きを繰り返すしかできないくらい。

黒沢の姿に見惚れてしまっていた。