「…なぁ、花チャン」
「な、なに…?」
なんだかとっても。
イヤな予感がする。
黒沢のこのわざとらしい笑顔の裏には。
なにかある。
そして。
そのイヤな予感は外さなかった。
「勝負しようぜ」
前を歩く3人に聞こえないようにか。
黒沢は私と顔の位置を合わせて言った。
…近い近い近いッ!!
横を向けば黒沢の顔。
これはいくらなんでも近すぎる…っ!!
しつこいかもしれないけど。
黒沢は、中身腹黒でも。
見た目は半端ないイケメンなんだ。
現に帰り道の今だって、チラチラ見てる人が…。
そんな顔にこんな近寄られたら。
私の方がどうにかなってしまいそうだ。
熱くなってくる顔に気付かれたくなくて。
真横にある黒沢の顔を“グイッ”と向こうに押しやった。

