「黒沢のバカッ!!アホッ!!」
学校を出てすぐ。
私は隣を歩く黒沢に文句を言った。
入学して2日め。
まだ里佳や黒沢たち以外と話してないこの状況で。
なんてことを言ってくれちゃったんだ、このおバカサンはっ!!
黒沢は気付いてないかも知れないけど。
アンタがしたことで。
私はかなり睨まれてるんだから!!
私たちが教室を出るときのあの視線。
痛いわ突き刺さるわで。
どうしていいのかわからなくなったぐらいなんだから!!
明日からの私のフツーの生活を返してぇ…。
文句を言われた本人、黒沢は。
全く、なにも。
何事もなかったかのように。
さっきまでと変わらず言葉を発した。
「…んだよ。俺は真実を言っただけじゃん」
「それは…」
「…はっきり言わなきゃ“あーゆーの”はわかんねぇんだよ」
…その一言で。
“黒沢の過去”がわかったような気がした。

