途端。
黒沢たちに向いていた視線が。
一斉に私の方に向いた。
「黒沢クン今、名前で呼んだよね?」
「なに、あの子」
黒沢たちの周りにいた女生徒が騒ぎ出す。
ひぃーっ!!
やめて、やめてっ!!
その怖い視線!!
黒沢もなんで今、名前で呼ぶかなあっ!!
バカ、アホッ!!
空気読め!!
「花ー?行くよぉ…ッ!?」
自分のバッグを持った里佳が。
この異様な空気に気付いて立ち止まった。
後から近寄ってきた里佳でさえ気付いたこの空気。
それをこの3人が気付かないはずがない。
なのに。
「腹減ったし。なんか食ってく?」
「ほら、相原サンも帰るよ」
いっちもかけチャンも。
何事もないかのように里佳に声をかけて。
黒沢は。
「…帰んねぇの?」
そう言って。
私の目の前に立っていた。

