…とは言うものの。
黒沢とかけチャンに挟まれてる私の席。
この輪の中って。
なかなか入りづらい…。
さて。
どうやってバッグを取ろうかな…。
輪から少し離れたところで自分の席を見つめていたら。
「花、帰んの?」
輪の中にいる黒沢が。
ガタン、と音を立てて立ち上がった。
「へ?」
「だーから、帰んのかって」
「え、あ…うん…」
「うし。んじゃ、帰るか」
黒沢はそう言って。
自分のバッグと。
隣の席…。
私の机の横に掛けてあるバッグを一緒に持った。
それが合図になったかのように。
いっちとかけチャンも。
自分のバッグを持って輪の中から出てきた。

