照明が落とされ、スクリーンに映し出されたのは。
派手な演出が印象深い。
CMでもよく観るアクション映画だった。
隣に座り。
スクリーンに見いってる黒沢をチラリ。
盗み見るように視線を向けると。
真っ直ぐ前を見てる横顔は。
鼻筋が通ってて、薄い唇が「ん」って結ばれている。
そこにいるのは紛れもなく黒沢で。
意地悪だけど、いろんな意味で黒いけど。
ふとした仕草や表情に。
ドクン、と体中の体温が何度か上がってるんじゃないかって。
…でも。
それは錯覚なんかじゃない。
だって、今だって。
黒沢が座ってる左側だけ。
すごく熱いんだもん。
「…どした?」
「な、なんでもない…っ」
私の視線に気付いた黒沢が。
首を傾けて囁いた。
私は。
気付かれた恥ずかしさを誤魔化すように。
慌ててスクリーンに視線を戻した。

