「ん?」





黒沢は。

そんな私に気付くはずもなく。

自身の顔を傾けて、私の顔を覗き込んできた。





「…ッ!!」





ドクンッ。

心臓が大きく跳ね上がる。

と、同時に。

覗き込まれた顔が、一気に熱を持った。





「は、は、はなひてひょ!!」

「何言ってっかわかんねぇっつーの」

「はなひてッ!!」

「あー、はいはい」





クックックと声には出さずに笑う黒沢は。

面白そうに目を細めると、私の口から手を外した。





ドクドクドクドク…。





なんでこんなにドキドキしてるの?

なんでこんなに熱いの?





大きく跳ね上がった心臓は。

まだ早鐘を打つように動いてる。





いや。

まるで何かを警告するかのように。

その動きは身体中に響いた。