でも。
口から出た言葉とは裏腹に。
唇が。
自分の指先で触れた時と全然違う柔らかい感覚を思い出す。
それは。
今されたようなリアルな感覚で。
その思い出された感覚は。
また私の中で熱に変わった。
「…川村、顔赤い」
「はッ!?」
かけチャンのその言葉に反応したかのように。
顔だけじゃない。
身体中が熱くなる。
こんな顔。
誰にも見せたくない。
そう思った瞬間。
思わず顔を手で覆ってしまった。
でも。
それは失敗だったとすぐに後悔する。
「なにその反応!!」
「ひょっとしてもう…」
「違うッ!!」
顔を覆った手を退かすとそこには。
ニヤニヤと意地悪そうに笑みを浮かべる悪友2人と。
興味津々に瞳を開く親友がいた。

