勝負…?
その言葉を聞いて視線を向けると。
黒沢は既に。
右手に握りこぶしを作って私の方に差し出していた。
「…ペナルティーは?」
「勝った方が決める」
そう言う黒沢の顔に。
イヤな予感しか感じないのは。
私の気のせいでしょうか…?
でも。
勝てばセクハラをやめさせること、できるよね。
これ以上からかわれてキスされるなんて。
冗談にもしたくない。
「…わかった」
私はキュッと右手に握りこぶしを作ると。
黒沢の前に差し出した。
「うし。 … じゃ、いくぞ。
さーいしょーはグー、ジャンケン…」
何か良からぬことを考え、薄らと笑みを含ませてる黒沢と。
セクハラを止めさせたい私の勝負が始まった。

