最初の頃は黒沢の隣にいるってだけでジロジロ見られたりしたけど。

周りが見慣れたのか、自分が慣れてきたのか。

それほど気にならなくなった。





むしろ。

黒沢が隣にいるのが当たり前にさえ感じて。

左側を向くと。

黒沢の顔の位置がある斜め上を向いてしまう。





小学生の時とは違う距離感。

意地悪も言われるしからかわれもする。

でも。

ペナルティーで始まったこの距離感も。

心地がいいことに気付いてしまった。





…ある種の病気かも。





「花」

「なに…んッ!?」





そんなことを考えていた時。

ふいに名前を呼ばれて振り向けば。

チュッ、と軽いリップ音と共に唇に落とされた柔らかい感触。





同時に。

身体中が瞬間湯沸し器のようにボンッと熱くなった。