ため息吐きたいのはこっちだって。
なんで黒沢にため息吐かれなきゃならないの?
意味わかんない!!
またも心の中でぶーたれた私。
今度は察しなくても顔に出ていたらしく。
黒沢は目を細めると。
私の頬に手を伸ばした。
そして。
「んむッ!?」
ムギュッ、という効果音がつきそうな勢いで。
私の両頬を片手で掴んだ。
「にゃにふんよよ!!」
「何て言ってっかわかんねって」
「はなへ!!」
「アハハ、おもしれ」
人のほっぺ掴んどいて「おもしれ」とか何!?
バカでしょ!!
黒沢バカ!!
文句のひとつも言ってやりたいのに。
頬を掴まれたままでは言葉も上手く発せない。
でも問題はそこじゃない。
こんなことをされても。
心底嫌がってる自分がいないってことだ。