またある日の放課後。






「花ぁ、買い物行こー」





放課後が始まるチャイムとほぼ同時。

里佳が私の席まで小走りに駆けてきた。





「うん、ちょっと待っ…んッ!?」

「悪い、先約」





帰る用意をしながら。

返事をした私の言葉を手のひらで掴みとり。

そのまま口を塞いだ黒沢が勝手に返事をする。





ちょっと待ってよ!!

約束なんてしてないでしょ!?





それなのに。

黒沢は勝手に私のバッグを掴むと。

空いている方の手で私の手を握った。





…里佳ぁ、助けてぇ。





里佳に助けを求めてみるけれど。

「今度花貸してねー」

なんて黒沢に言いながら笑ってる。

こーゆー時に限って。

いっちもかけチャンも邪魔しに来ない。





「じゃ、また明日」





そう言うと黒沢は。

私の腕を掴んだまま教室を後にした。