「な…ッ!?」





予想外に降ってきた痛みに。

思わず後退る。




すると。

黒沢は私の頭の上で。

大袈裟なくらいにため息を吐いてみせた。





「最近ため息増えた」

「そ、そうかなッ!?」

「…自覚してねぇの?」

「アハハ…」





私の空笑いに。

黒沢はもう一度ため息を吐いた。





…忘れてた。

隣に黒沢本人がいたことを。





私は黒沢には気付かれないように。

小さく小さくため息を吐いた。





黒沢には知られたくない。

モヤモヤしたこの気持ち。

なんでだかわからないけど。

黒沢には知られたくなかった。





霧がかかったようにハッキリ見えない向こう側。

それを知りたいような。

知りたくないような。

見てみたいような。

見たくないような。





私は。

どうしたいんだろう。