「…オレンジジュース」
「お前いつもそれだな」
フッと。
黒沢は薄ら口元を緩めると。
「待ってな」
そう言って購買に向かって歩き出した。
「黒沢クン優しいよねぇ」
「…うん、そーだね…」
「それはノロケ?」
「ち、違うって!!」
隣にいた里佳にはニヤニヤしながらからかわれたけど。
私には違和感たっぷりだった。
勝負したんだよね?
負けたの私だよ?
なのに。
なんで黒沢が行くの?
あの日から。
黒沢にキスされたあの日からこんな調子で。
勝負をしても勝負になってない。
…だったら最初から買いに行ってくれればいいのに。
なんて思ったりもしたけど。
ホントに黒沢は。
何を考えてるんだろ?

