―あの日から。

黒沢がおかしい。





「花、ジャンケンすんぞ」

「何賭けんの?」

「どっちが購買行くか」

「いいよ?負けないもん」

「じゃ、いくぜ?さーいしょーはグー…」

「「ジャンケンポンッ!!」」





前と変わらず勝負はする。

そこは変わらない。





「…うぅ…」

「俺の勝ち、ね」





掛け声に合わせて目の前に出された私と黒沢の手は。

勝負の結果を明らかにしている。





…にも拘わらず。





「…やっぱいい。俺行くわ」





そう言って。

勝った黒沢は立ち上がると。





「何買ってくる?」





頭の斜め上から黒沢が聞いてきた。