「花、入るわよー」
そんな言葉と共に。
部屋に入ってきたのはお母さん。
手にはオレンジジュースをのせたトレーを持っていた。
「オレンジジュースでよかった?」
「なんでもいいよ…」
黒沢がオレンジジュース飲んでるのなんて見たことないけど。
いつもコーヒー飲んでる気がする。
でも、まぁいっか。
「ゆっくりしていってね」
お母さんは黒沢にそう言うと。
トレーをテーブルに置いて部屋を出ていった。
「…バッグ、持ってきただけだし帰るわ」
お母さんが部屋を出ていくと同時に。
黒沢が言葉を発した。
「それに」
ニヤッと意味ありげに口角を上げ。
笑みを浮かべた。
「また鼻血出されても困るしな」

