黒沢の小さな笑いは私の羞恥心を煽った。
そのせいで顔だけじゃなくて身体中の熱が上がる。
「な、何笑ってんの!?」
「いや、笑ってねぇよ」
意地悪そうに唇の端っこを持ち上げながら。
笑いを堪えているようにも見える黒沢は。
その距離を保ったまま。
首筋を撫でた指先で頬に触れた。
「笑ってるって!!」
「笑ってねぇって」
いや、ウソだ。
笑ってる。
必死に堪えようとしてる。
だって。
肩、震えてるし。
笑っている、と確信を持ちながらも。
疑いの目を黒沢に向けていると。
堪えきれなくなったのか。
プッ、と吹いた後。
黒沢はアハハと笑いながら私のオデコを叩いた。

