この場所は、白弥が教えてくれたんだ。


お風呂も水も無い洞穴暮らしだから、水浴びにでも使えって。

ここの、木葉から差し込む光の優しさが、見た瞬間から気に入ってしまったんだ。



―――ポチャン。 後ろから水が跳ねる音と、何かの気配。


振り向けば、木の上から赤い瞳が私に向けられていた。

この狼は、木の上に登るのが、好きなのだろうか?


「……大胆な覗きにでも来たの?」


今、私は水浴びの最中で、もちろん服なんて着ていない。

まぁ、見せられるような身体なんてしていないけれど。