桜、月夜、愛おもい。




外は、少し肌寒かった。


風が吹いて、私は身体を震わせる。

台風が去った後だからか夜だからか、私の他には誰もいない。


道の脇には、どこかからとんで来たのか、ボロボロの傘の骨組や子供の砂場遊びのバケツが転がっている。



歩く度、ひんやりとした空気が肌を撫でた。



寂しい風景。


窓からもれる明かりも少ししかない。

ほとんどが避難したんだろう。



でも、今の私にはどうでもいいこと。


誰もいないなんて、私には関係ない。





今会いたいのは、凛桜だけだ。