見ると、微かに微笑んでいる。 「…え?」 呟いた私に、咲菜は更に笑みを深くした。 「いないとは限らないでしょう?そりゃあ、もちろん絶対いるなんて言えないけど」 「でもね?」と咲菜は首を傾げた。 「凛桜くんは、きっといる。そんな気がするの」 そう言うと、ソファーへと歩いて来て私の前に立った。 表情は柔らかくて優しくて、本当に可愛かった。 「懸けてみなさいよ。それくらい」 咲菜はニヤッと笑い肩を竦めた。 「……………うん。そうだね」 私は家を出た。