桜、月夜、愛おもい。



少し目を伏せて、眉間に皺を寄せている。

周りに漂う空気が、大きな疲労を見せていた。



「お母さん、具合悪いの?」


私が声をかけると、お母さんはこっちを向いて優しく微笑んだ。



「…少し…ね。でも平気よ」


全然平気そうじゃなかった。



「少し休んでていいよ?」


私が言うと、お母さんは「でも…」と私を見つめた。


私は首を横に振る。


「ダメ。休んでて?ご飯とか掃除なら、私がするから」


ね?と笑って、お母さんを立たせる。


お母さんは「ごめんね?」と言って、ドアを開ける前に申し訳なさそうに私を見て、リビングを出て行った。