桜、月夜、愛おもい。



まるで自分が苦しんでいるみたいに、泣きそうな顔をして言う。


私は黙って咲菜を見つめた。



「凛桜くんは、人間じゃないのよ?もしかすると、いつか消えちゃうかもしれないのよ?もしこのままいなくなったら、奈津は後悔しないって言える?」


「―…ッ!」



鋭く率直につっこんでくる咲菜に、堪らず下を向いた。



‘いなくなったら’…?



そんなこと、今まで思いもしなかった。

横を向けばいる。
彼はそんな存在だったから。



「告白しろとは言わない。でもせめて、仲直りくらいはしなよ」


咲菜は微笑んだ。

私には、キラキラと輝いて見えた。



「……うん…」



小さく、『ありがとう』と呟く。

たぶん、咲菜には聞こえなかった。