桜、月夜、愛おもい。



今、咲菜がこんな風に笑えるのは、心から欲していたものを手に入れられたからだと思う。

それが静谷先輩って言うのが、ちょっと気に食わないけど。


私には、そんな顔出来ない。

そんな幸せそうな顔、私には出来ない。


そう思うと、重い何かが胸に落ちてきた。

ゆっくりと蓄積されていくそれは、確実に、私の心を沈ませる。



唇を噛む私に、咲菜は言った。


「告白する気は、ないの?」


コクリと頷く。

咲菜は「どうして?」と首を傾げた。



「私と凛桜は…違うから…」


自分で言って切なくなる。


私は馬鹿だ。

私と凛桜は違うんだって、自分で言って傷ついてる。


自分で自分を傷つけてる。



詰まりかけた呼吸を、深く繰り返して、私は咲菜に向き直った。