桜、月夜、愛おもい。



「恋か」

「はっ!?」


真顔で言った咲菜に、思わず大きな声を出した。


咲菜は、キョトンとした顔で私を見る。



「え?違うの?」

「何で?」

「いや、恋してますって顔してるから」


してるのか?

私が?



「してないし」


私はムッと唇を尖らした。

咲菜が「そお?」と首を傾げる。



「してるけどなぁ。恋に悩む乙女の顔」



乙女ってキモいな。



「してるんでしょ?恋」

「だからしてない」

「相手は誰よ?」

「あのねぇ」