桜、月夜、愛おもい。



咲菜の言葉に、半ば呆れて言った。

咲菜は面倒臭そうにこちらをチラリと見て、そして漫画に視線を戻した。


「今日は泊まるからいーの。お母さんにも明菜さんにも、既に許可とってあるし」


は?


「泊まるって、家に?」

「あんた話聞いてた?」



状況が飲み込めず怪訝な顔で聞いた私に、咲菜は素っ気なく返す。


けど、咲菜が冷たいのはいつものことだし、今はどうでもいい。

それより私が気になるのは、咲菜が家に泊まるって言うことだ。



「いつ決めたの?」

「来てすぐ」

「嘘ッ!!!」

「うるさいな」


驚いて叫ぶ私を、咲菜は煩わしそうに睨みつけた。