桜、月夜、愛おもい。




『ひとつ、言っておかないといけないことがあるの。

宏明のお葬式の時に言ったんだけど、奈津は聞いてなかったみたいだから。



宏明が死んだのは、私のせいなの。


あの事故の日、私は宏明にスーパーまで迎えに来てもらおうとしてたの。

雨が降ってて、私は宏明を急かしたの。
早く!早く!って。


それで、宏明は事故にあった。


奈津ごめん。ごめんね。

全部私のせいなの。



なのに、それを認めたくなくて、イライラして、奈津に酷いことばかりしてしまった。

やったあとに、いつも後悔した。
でも、止められなかった。

奈津が前妻の子供だったことも理由なの。

奈津を見る度に、嫌な感情が心の中から沸き起こって。


馬鹿みたいな嫉妬と我儘で、奈津を苦しめた。

これじゃあ奈津の母親にはなれない。

本当にごめんね。
さようなら。



明菜』