桜、月夜、愛おもい。



自称桜の精はそれでも諦めきれないらしく、なおも私に絡んできた。


「お願いです!僕と友達になってください!毎日一人でここにずっといるのは寂しいんですよ」


ならどっか行けばいいじゃん。


「僕と桜は一心同体だから、別の場所には行けないんです」


まだそんなこと言ってんのかコイツ。


「まだ信じてくれないんですか?」


信じろって方が無理でしょ。



「って……え?」



間抜けな声を出して、私は自称桜の精を見つめた。

てかガン見した。



「あ、あんた、今…」

「ハイ、奈津さんの心よみました」


信じられない。

本当に?


「分かってくれました?」
「あんたまさか、超能力者!?」


私の言葉に、ガクッとなる自称桜の精。

むーっとして私を睨むと、「もう!違うってば」と不機嫌そうな声を出す。