桜、月夜、愛おもい。




「私…何でここに…?」



そう呟いた時、男の人と女の人が数人入ってきた。


たぶん医者と看護士だ。



「綾瀬さん、気分はどうですか?」


医者の質問に、私は「頭が痛いです」と答えた。


本当に頭がとても痛い。

ガンガンして、少し目眩がする。



「そうですか。綾瀬さん、これが何か分かりますか?」


医者がそう言ってボールペンを差し出した。

私はそのまま「ボールペンです」と答えた。


医者は頷くと、次は何か書いてみてくださいと言った。

私はボールペンを受け取って、紙に自分の名前を書いた。