桜、月夜、愛おもい。




目が覚めると、視界には白が広がっていた。



(…病院?)



まだ覚醒しきっていない頭で考える。



と、視界に影が落ちた。



「目が覚めましたか?」



かけられた声に視線を移すと、優しそうな看護士が私に微笑んでいる。

その笑顔に、私も微笑い返した。



看護士は「先生を呼んできますね」と言って部屋を出ていった。


私は部屋の中を見回した。



個室らしく、私の他には誰もいない。

窓から差し込む光は柔らかく、昇りきっていない太陽が、朝だということを教えてくれた。