何も憎んでいるわけじゃない。 恐いだけ。嫌いなだけ。 心配くらいする。 いくら血が繋がってなくっても、殴られても、母親なのには変わりないんだから。 明菜さんはこっちを向いて微笑んだ。 いつもは絶対しない、優しい目で。 「っ!」 お父さんと同じ目だ。 暖かみを含んだ、母親の目。 「寝てなさい」 明菜さんはそう言って、外に出て行った。