桜、月夜、愛おもい。




満開の桜の下で、急に現われた男はそう言った。

私は黙ってその男を見つめた。


柔らかそうな漆黒の髪に黒い瞳。
背は高くて身体のラインがすごく綺麗、手足もスラリと長い。

年は私より少し上ぐらいだろうか。
とにかく綺麗な男。


彼は白い歯を輝かせて笑った。


そして言った。



「ねぇ、僕と友達にならない?」

「嫌です、ごめんなさい」



私は即答した。