桜、月夜、愛おもい。


「友達と、宿題してたの」


私は敢えて無難な答えを返した。

変なことを言って怒らせるより、嘘を言っておいた方がずっといい。



「ふぅん…」


明菜さんは、そう呟くと私を見つめる。


母親とは思えないくらい冷たい目。

この人が私の母親だなんて、信じられない。認めたくなかった。

母親じゃなかったらどんなによかったか、何度考えたか分からない。