桜、月夜、愛おもい。



道があっても、そこは追い越して。


辿り着いた行き止まりに、酷く戸惑う。





「美味しいねっ」

「うん」

「そう?ありがとう。ちょっと水持って来るね」



キッチンの床に、転がったケータイ。

私はそれを拾って開く。



画面の中、笑う私。

隣りには誰もいなかった。





「奈津ー?」

「今行くー」





戸惑いや痛みなら、うまく隠そう。


決して気付かれないように。