桜、月夜、愛おもい。



店を出ると、さっきよりも大きなざわめきが包む。

この人込みに入ることを、一瞬ためらった。

と、きゅっと手を握られる。

見ると、美樹ちゃんがこっちを見上げて微笑んでいた。


「大丈夫だよ。離したりしないでしょう?」

「………うん。そうだね」


美樹ちゃんの瞳の中に、もう一人を見る。

コクリと小さく頷いて、私は踏み出した。



お昼近くになったせいか、人の多さは半端ない。

それでも、力強い二人に引かれて、私は休むことなく進んだ。



「写真撮ろ!」


噴水のある大きな広場で、私はそう言う。

噴水の前に三人で並んで、近くの人に撮ってもらった。