桜、月夜、愛おもい。



ガラスケースの中には、キラキラと、まるで宝石をちりばめたような輝くケーキが並んでいる。

どれも可愛くて、すごく美味しそうだ。


「どれがいい?」


少し屈んで美樹ちゃんに尋ねる。

美樹ちゃんは、ガラスケースをジッと睨むように見つめると、う~んと小さく唸った。

それから、パッと顔を上げて、「決めたっ!」と言ってビシッと指を立てる。


「この、いっぱいのったやつ!」


美樹ちゃんがそう言って指したのは、キウイやイチゴやブルーベリー等、たくさんのフルーツがのったショートケーキ。

店員さんが一度確認してから、それを丁寧に取り出してトレーの上に乗せる。


「凛桜は?」

「僕?僕は…」


視線を横に向けて、次は凛桜に聞く。

ふと下を見ると、しっかりと繋がれた手と手。


そう言えば、手繋いだまんまだった。