桜、月夜、愛おもい。



その力に黙ってついて行きながら、反対で美樹ちゃんの手をしっかり握ってはぐれないよう気をつける。

美樹ちゃんは、小さい身体を出来るだけ目立たせるように背伸びして、一生懸命ついて来ていた。


「大丈夫?美樹ちゃん」

「うん、楽しい」


彼女は楽しんでいるらしかった。



「ここでよかったよね?」


人込みを抜けて足を止めたのは、お洒落で可愛らしいケーキ店の前。

一度咲菜と来て、凛桜にもケーキを買っていったあの店だ。


「うん、ここ」


頷いて、店内へと足を進める。


「いらっしゃいませ~」


可愛い店の制服を来た女性店員さんが、カウンターとガラスケースの向こうからにっこりと笑う。