桜、月夜、愛おもい。



ヒラヒラと揺れる手を見つめて、悶々と考え込む。

そんな私を不審に思ったのか、凛桜は「奈津?」と言い首を傾げた。


その仕草が、何て言うか絵になっていて、思わず見入ってしまった。

返事するのは忘れて。



眉を寄せる凛桜。

それに、まずい。と思った時にはもう遅く。



「奈津。僕と手繋ぐの嫌なの?」


潤んだ瞳で、そう囁かれた。


その顔は捨てられた子犬のようで、見つめてくる視線は光を放っているように見えてしまう。


どくんっと音を立てる心臓。


狡い。こんなの、狡すぎる。


こんな表情、冗談でも、嫌なんて言えない。