「はい」
「へ?」
スッと差し出された手に、間抜けな声を出した。
そんな私の様子を見て、少しおかしそうに笑った凛桜は、「だから、手」と言うと、出した手を軽く振った。
その数秒後、赤く染まる私の頬。
「え、でも…えっと…」
差し出された手の意味を理解して、もごもごと口を動かす。
まったく意味を成さない音達が、時折洩れ出して途切れ途切れで言葉を紡ぐ。
それは、拒否とかそういうのじゃなくて、恥ずかしさから来るそれ。
小さい頃、お父さんとしたぐらいしか記憶のない私は、当然こんなこと慣れてないわけで。
ていうか、何で目の前のこいつは、こんなに慣れてますオーラが出ているんだろう。


